正式名称「社会人団体リーグ戦」。同じ職場でチームを組む「職団戦」とは違って、自由にチームを組んで年5回の日程に分けて戦うというユニークな団体戦です。ちなみに「社会人」とありますが学生や子どももいます。参加しやすさが売りで、年々参加チームが増えている、と聞いたことがあります。
以前から一度見に行ってみたいと思っていたのですが、なかなか機会がなく今日に至っていました。昨日初めて行ったのは、ある先輩棋士二人と話したことがきっかけでした。
曰く、「あれだけたくさんの将棋ファン(それもコアな)が集まる場所に、棋士が誰もいないというのはおかしい」と。社団戦に限らず、アマチュアの方がたくさん参加してくれている将棋大会の場に、全く足を運ばないというのは良くない、できる範囲で構わないので、ときには足を運ぶべきであろうと。そりゃそうだなあと思ったので、さっそく実行したのでした。お二人はアマチュアとの交流を大事にされていて、非常に距離が近い棋士という印象があります。
そのとき「ふらっと見に行ってみて、何か見かけない人がいるなあと、そんな目で見られるのも良い経験だよ」と冗談交じりで言われました。僕は右の脳で「たしかに自分のこと知らない人もたくさんいるるだろうなあ」と思いつつ、左の脳で「いやあ、でもいくらなんでも・・」と聞き流していました。
行ってみて、単なる冗談ではないということは理解しました。右の脳の勝利です。将棋を指すのは好きだけど、プロなんてよく知らないという人も、たしかに大勢いるのでしょうね。僕は子どもの頃広島カープの選手はけっこう知ってたので、まずはプロ棋士もそのぐらいは認知されたいものだと思いました。
ちょっと話はそれますが、先日の王座戦の一斉対局、およびLPSAのパーティーで、羽生三冠がはしごされてました。“羽生さん”が来てくれて参加したファンはさぞ喜ばれただろうし、その姿勢はいつも尊敬していますが、ああいうのを見ていると、この世界はあまりにも一部のトップ棋士に負担がかかりすぎているなあと思ってしまいます。仕方ない意味もありますが、トップ以外の棋士の立場としては、すこしでもそれを軽減できるように皆で考えるべきだと思います。そうでなくては、全体の発展は望めないでしょう。
というわけで、自分が一流棋士を目指すのはもちろんのことなのですが、そうでなくても、自分の知名度を上げる努力をしたいなあと、しみじみ思いました。認識されるということが、ファンになってもらうための第一歩であって、それは「将棋」そのものだけに限った話ではありませんので。
会場では大学の先輩・後輩はじめ、久々にお会いする方、地方から来られていて普段はなかなかお会いできない方、元奨励会員、来週初めて稽古に伺う方などなど、たくさんの知り合いにお会いできたので良かったです。大会に参加している人たちに総じて言えるのは、将棋を考えているときの表情がとても良い、ということです。本当にたくさんの真剣な表情に接して、何だか癒されました(笑)妙な話なんですが、本当です。
ただ行くのも何なので、竜王戦の優勝記念に作った夫婦扇子を持っていったのですが、これがほとんど買ってもらえませんでした。ボーっとしてても買ってもらえないよと、嫁に怒られました。たしかに、見たことない怪しげな兄チャンが座ってても、そりゃ誰も近寄らんわな・・・
モノを買ってもらうのって、想像以上に恥ずかしいんですね(^^;初めて知りました。
また脱線しますが、いま将棋連盟の販売で一日館長というのをやっていますが、これが大好評で売り上げがかなり伸びていると聞きました。やっぱり女性はすごい、とそれを聞いてとても感心しました。ちなみにLPSATシャツもけっこう売れてたみたいです。
来月の社団戦の日はちょうど僕の初の著書が出る時期とちょうど重なるので、懲りずに持って行こうと思います。また怒られそうですが(^^;何事も修業です。もし興味がありましたら、どうぞよろしくお願いします。
僕は基本的に初対面の人と話すのがとても苦手で、だいたい話かけられてもしり込みしちゃう場合が多いんですが、別に嫌がってるわけではないので、どうか見かけたら気軽に声かけてください。
会場の話に戻って、僕は3局目・4局目と2局観戦。1部が強豪ばかりなのは当然として、3部・4部もかなりレベルの高い将棋が多いのは驚きました。正直もっとメチャクチャな将棋ばかりかと思っていたのですが(笑)
一番下の4部でチームを率いていたシマケン君と「自分たちが知らないだけで、本当は将棋が強い人というのは世の中に山ほどいるのかもしれない」という話をしました。良い将棋を指す人は本当にたくさんいるんですね。何だか明るい事実に気づいたような気がしました。
戦型は、やはり大半が振飛車系の将棋。相居飛車は3割ぐらいでしょうか。内訳は半分が矢倉、残り半分がそれに類するもの(?)。けっこう多かったのが右玉です。右玉の本ってあまり見覚えがないので、出せばけっこうヒットするのでは?と思いました。ちなみに横歩取りや相掛かりは100局に1局ぐらい、角換わりは僕の見た限りでは会場中で1局だけでした。プロもこの事実は少しは気にしたほうがいいかもしれませんね。
とまあ、とりとめもなく。本当はopinionに書く内容じゃないんですが、長くなったのでこっちでupすることにしました。来月もたぶん行きます。あと、夏は各地で大会や将棋まつりが行われます。僕も仕事以外でもときどきは顔を出そうと思いますので、見かけたらぜひ遠慮なく声かけてください。
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営業とか販売というは、どんなビジネスでも基本ですから、できれば若いうちに経験しておいた方がよいと思います。年を取ってからだとなかなか恥ずかしくてできませんので。
一般アマの好む戦法の特徴として、相手の意向に係わらずできるというポイントがあります。その観点から相掛り、ひねり飛車などは×。右玉というのは、振り飛車と同じく、結構、相手の意向にかかわらずできるので、得意としている方が多いような気がします。
昔、先崎八段がどこかで、プロは相掛りと角換りは年間5局までしか指してはいけないというルールを作ったらどうかと冗談めかして書いていたことがありましたね。
ま、私は主催者ではないのでこれ以上のことは言えませんが、次回お会いする機会がありましたら、私たちのチームにもお立ち寄りください。
ところでアマとプロの関係について一言書かせてください。
私はあるプロの先生と面識がありだいぶプロのみなさんに対して興味をもっているつもりです。
しかし、それでもプロとの距離を感じます。
片上先生のことではありませんが、プロの先生は将棋はプロでも人生に関してはセミプロと感じる方がいるのも事実です。
プロの先生方から近づいてこないと距離は縮まりません。
アマの将棋指しの多くは別にプロと面識がなくても、なんら不自由は感じていません。
ここの認識をお互いに変えていかないと、将棋の発展はないと、私は感じています。
昔(今はどうなっているかわかりませんが)都内某区で年1回、区の主催で将棋大会が行われていました。毎回300人程は集まって、5つくらいのクラスに分かれてトーナメント戦がおこなわれていました。
大会運営は将棋好きのボランティアの区民の方々が行っていました。盤コマの手配から、対戦の抽選、賞品の手配、表彰式まで、かなりご苦労もあったかと思います。 プロの棋士の方を見かけたことはありませんでした。あるときからボランティアの方々の運営ではなく、区の職員の方々の運営にかわりました。それ以降、運営はそれまでよりもきちんとなされるようになったのですが、なんとなく大会の熱気が冷めていったように感じました。あくまでもイベントですから、その場の雰囲気というのが楽しさにつながるのかなと思ったものでした。プロ棋士も仕事としてではなく、いわばボランティアとしてアマチュアの大会に関わるというのは、それはそれとしてすばらしい何かを生じさせるのではないかな、と思った次第です。
そうですね、お察しの通りだと思います。右玉がけっこう人気があるのは知ってたのですが、想像以上でびっくりしました。
たしかに、大会では特に、できるだけいつもやってる戦法で指したいという気持ちは強くなるでしょうね。
>江戸川さん
そうですね。たしかに将棋のプロというのは、いないと困るとかいう類のものではないですからね。それは自覚している、つもりです。
その場にいるとおっと思ってもらえる、一言アドバイスすれば喜んでもらえる、そういったところがとりあえずの目標です。
>洋志さん
大会の運営は、私も地元ではよく見ているので苦労もある程度は知っています。
個人的には、ボランティアということは極力したくありません。そうやって携わってくださる方への感謝は大切と思いますが、そこに直接出ていくのは、基本的にはプロの仕事ではないと思っています。
ただし、仕事でもボランティアでもなくても、かかわりを持つことはいくらでもできると、思っています。
できたらあんまり出して欲しくないという、気もします。
まぁ、どんだけ書かれても書かれてない場所を探して非定跡党はさすらうのでしょうが・・。