先週行った囲碁フェスタのことについて書きます。来年も行われるかもしれませんので、興味のある方は
IGO AMIGOのHPをチェックしましょう。
僕は囲碁は初心者(たぶん7,8級)で、中学高校時代にすこしやったことがある程度です。道場だとか大会とかイベントとかには全く行ったことがなくて、一度参加してみたいとは思っていたのですがきっかけがない状態でした。今回たまたま知人に誘っていただいたのと、実際に
ウェブサイトを見てみると非常に興味を引かれる内容だったので、参加してみることにしました。「四千年間、なかった」っていいキャッチフレーズですよね。
将棋もそうだと思うのですが、初めてどこかに出かけていくというのはなかなか勇気がいるものです。思えばバックギャモンのときもそうでしたし、今回もどんな感じか全く分からないので、行くまではけっこうドキドキしました。参加してしまえばたいがいは楽しめるものなんですが、最初の一歩は大変です。だからもし周りに「参加してみたいけど、なんとなく不安」という人がいたら、ぜひ声をかけてあげてほしいと思います。そういうのって、我々の努力ももちろんあるのですが、身近な人がきっかけをくれるのが一番だと思うんですね。
もちろん「面白そうだな」と思わせることも大事だし、そして実際の中身も大事なんですが、きっかけはごく身近な「輪」なんだなと、実感しました。この「IGO AMIGO」という集まりは、主に愛好者の少ない20〜30代に囲碁を広めていこうという活動をされているそうです。スタッフもほとんどが若い人ばかりで、若者同士の輪を広げていこうとしている様子がうかがえました。
囲碁は普及の組織化がすごく進んでいると感じ、それは非常に羨ましい点の一つです。正直言ってあれだけの数のボランティアスタッフを動員してイベントをやるなんて反則級です(笑)将棋ではあんなことはなかなか難しいでしょう。
あれだけのイベントで参加費2000円はかなり安いと感じましたが、それはボランティアのスタッフがたくさんいたからこそ実現できたのだろうと思います。
「普及」というのは文字通り広く行き渡らせることで、それには時間も労力もかかります。それには熱意ある若者の力が不可欠なんだな、と改めて思いました。僕も将棋を広めたい気持ちはもちろんありますが、正直なところあそこまでの熱意はありません。ですが自分のできる範囲で、頑張ろうと思います。
当日の話に戻って、会場に着いたのが1時すぎ。あまりの広さにびっくり。なんとなく100人規模かなあと予想してたんですが、数百人はいましたね。これはすごいことです。
最初に渡されたのがクイズの用紙。後で出てくる「囲碁マニア王決定戦」の予選だったようです。これを提出して、さらに指導対局の申し込みをしてから(笑)、開会式。ギャモン界ではおなじみの武宮先生がダンスを踊っていてかなりびっくり。合間に一緒に来た友人と数局。僕には19路盤は大きすぎるので、9路盤や13路盤のほうが好きです。囲碁は大きさやハンデが自由自在なので、初心者に優しいゲームと言えます。その代わり、勝ち負けが分かりにくいという欠点があります。このあたりはお互いに「他人の芝生は青い」って感じなんですかね。
そのあといろんなブースを回って講座を物色。棋力ごとにいくつかのクラスに分かれて、ほぼひっきりなしにやっていたようです。やっぱりというか、僕が見た限りでは万波佳奈さんが一番人気だったかな。彼女は可愛いだけでなくて、話がとてもうまいですね。彼女に限らず、囲碁の棋士はみんな壇上に上がってもすごくハキハキしていて、話し慣れているような気がしました。将棋にも話のうまい人はたくさんいますが、負けている気がします。
ちなみに万波さんの講座は自分の実戦の解説で、僕には難しそうだったのでスルー。タイトルは忘れましたが「石のつながり方」のような講座を見ました。強くなったかは不明です(笑)小さい子どもがテキパキを解答していて感心、とこれはどこの世界でも同じですね。
どの時間でもどの棋力の人でも楽しめるように工夫されているのはすごいなと思ったのですが、一つ残念だったのは声がよく聞こえないこと。仕切りがないのでひょいっと覗けるのはいいんですが、会場のアナウンスで、先生の声が聞こえないんですよね。みんなメガホンでしゃべってたけど、声が嗄れなかったか心配です。たぶんどうするか悩んだんだと思いますが、そのせいで講座来なかった人はけっこういたんじゃないかなーと推測。客はわがままですからね(笑)
ところでこれを将棋に置き換えてみると。
たとえばA級最終日の大盤解説会は毎年大盛況で、二部屋に分かれてやっていることが多いんですが、棋力の高い人向けの解説をする部屋と、そうでないのと、分けてみるのはどうだろう。というようなことを思いました。実際にうまく棋力に合わせてできるかは難しいですが。
そうこうするうちに指導対局の抽選はハズレ。そのあと真ん中の開会式をやったステージで「マニア王決定戦」。レベル高すぎて唖然。ようはクイズなんですが、よくもまあこんなの考えたなあと。そして知ってるなあと。これは将棋でも簡単にマネできそうですけど、どうですか某教授に某マニアさん、某マニハルさん(笑)
こういうのって一歩間違うと寒い企画になりかねない気もするんですが、僕は見ていてかなり楽しめました。実際、帰りがけに囲碁・将棋チャンネルの人に「何が一番面白かったですか?」と聞かれたのでそう答えました。僕のこと知ってたのかどうか(笑)
他にも碁石つかみ取りとか、お約束のルールを全く知らなくても楽しめるコーナーもあったようです。個人的にはそういうコンセプトのものはあまり好きではないのですが、実際のところやっぱりルールを知らない人たちにも楽しさを知ってもらうことは重要でしょうね。
最後のトリが10秒リレー碁。内容はさっぱり分からないので、梅沢さんのトークを楽しむ。10秒将棋というのは悪手は出るにしても、指すだけならそんなに難しいことではありません。だからこそ、「目隠し10秒」なんて企画が出るわけです(これは大変です)。10秒+リレーというのは見たことがないので、どれぐらい大変なものなのかやってみたい気はします。
このコーナーは、いかんせん内容が分からないので、弱いなりになんとなく意味を理解しながら見たい僕には、それほど面白いものではなかったです。でも壇上の棋士の皆さんは大騒ぎしてて楽しそう(苦しそう?)でしたから、きっと企画としては成功だったと思います。
今年は
AISEPや
日本文化祭りなど、新しいイベントに参加する機会がけっこうありました。それらは皆若い人たちが中心となって企画・運営したものばかりです。将棋・囲碁にとどまらずいろいろな分野で、既存の枠にとらわれない新しい試みが求められているということなのだろうと解釈しています。僕はそういったことを自分でやるのは得意なほうではないですが、ときには何か、関わりが持てたらと思っています。新しいことというのは苦労もありますが、ほとんど例外なく面白いものです。改めてそう思えたことは、今回の大きな収穫でした。
あと内容とは直接関係ないんですが、プロがみんなTシャツで講座やったり指導やったりしてるのが、普段そちら側の人間としては非常に新鮮な感じでした。と言うのも、スタッフ・プロみんながその日のために作ったと思われるTシャツでおそろいなんですね。若者向けのイベントなので、カジュアルな感じでとても良いと思いました。将棋祭りなんかでもスーツ姿の棋士しか見たことない人がほとんどだと思うんですが、ときにこういうのも良いのではないでしょうか。こうしたちょっとしたことが、案外新しいことだったりするものです、
もう一つの収穫は、囲碁をやると初級者の気持ちがよく分かる、ということです。僕は石を取られないようにするのは比較的得意なんですが、「取られても良い」ことが分からなかったり、あるいはシボリやウッテガエシのような、取らせて取り返したり追い詰めていったりという手をうっかりすることがよくあるようです。それを友人に言うと「将棋ならできるのに」と笑われますが、そうは言ってもそれができないから初級者なわけです。囲碁をやると弱い人が分からないことが分かるので、なんとなく指導に役立つような気がしています。だから囲碁は、あんまり強くならなくて良かったかもしれません。